准組合員は“農業の応援団” (平成30年10月28日掲載)

 JAは組合員のニーズに基づき、農業を通じてさまざまな事業や活動を行う組織だ。地域に根差したサービスを総合事業として実施し、農業振興と地域の活性化に取り組んでいる。JAグループ高知が「自己改革」を進める中、地域に密着した取り組みをするために、農業者ではない「准組合員」との関係づくりに重点を置いている。

 JAは、農業者の「正組合員」を中心に営農指導、信用、共済、購買、販売事業などの総合事業を展開している。また、農業に従事していない人でも「准組合員」として加入し、一定の範囲内で、JAの事業を利用することができる。
 近年では、「農業体験をしたい」「家庭菜園や市民農園などを始めたい」という准組合員も多く、JAは、事業利用のみではなく、「正組合員と共に食を通じて農業を育み、豊かな地域社会を築く、大切な仲間」と位置付けている。
 JAグループ高知の准組合員数は、2017年時点で6万2718人で、08年に比べ約1万人増加。地域に根差した協同組合として、JA事業は多くの地域住民に利用されている。
 「持続可能な農業」を実現するためには、消費者、生活者の視点を持つ准組合員の意見や支持、理解が不可欠だ。このため、JAグループ高知では、准組合員を「農業振興の応援団」と位置付け、地元農業を「食べて応援」「作って応援」できる取り組みを拡大している。
 「食べて応援」は直販所での買い物やイベントへの参加を通じて地元農畜産物の消費拡大を応援するもので、「作って応援」は家庭菜園、農業塾の参加を通じて農業生産を後押しするものだ。各地でさまざまな応援が行われている。准組合員の活動が活発なJA土佐くろしお、JAコスモスの事例を紹介する。

▼食べて応援 JA土佐くろしお  「地域密着型」で成長

▼食べて応援 JA土佐くろしお  「地域密着型」で成長

 JA土佐くろしお(本所=須崎市多ノ郷)は、直販所「とさっ子広場」(同市大間)を拠点として、「食べて応援」を通じた准組合員や地域住民との関係づくりに力を入れている。
 同JA管内にあった女性部運営の「くろしお市」と「みのり市」は同JAの女性部員しか出荷できなかった。誰でも出荷できる体制を構築しようと、両市を統合し2016年4月にオープンしたのが「とさっ子広場」だ。
 同JAでは利用者に「食べて応援」をしてもらうため、さまざまな工夫をしている。コーヒーや軽食が楽しめる「とさっ子キッチン」は、高校生から高齢者まで気軽に立ち寄ることができる憩いの場となっており、地域密着型の店舗として成長している。買い物金額に応じてポイントが貯まるポイントカードも発行しており、顧客満足度の向上に努めている。
 また、できる限り新鮮な農産物を提供するため、午前6時から営業をしている。これほど早い開店時間は県内直販所の中でも珍しく、開店時間には、朝取れの農産物や生鮮品が並び、多くの買い物客が足を運ぶ。
 とさっ子広場の利用者は「野菜、肉、魚、日用品などたいていの買い物を済ませることができ助かっている。野菜は新鮮だし、これからも利用を通じて『食べて応援』をしていきたい」と話す。
 直販所を利用してもらうことでJAファンになってもらい、積極的に「食べて応援」に取り組んでもらうと同時に、JA事業への理解醸成を図り、将来的には、准組合員として加入してもらうことも同JAの目標だ。
 現在、組合員のほか地元業者や関係団体とも連携して415人が「とさっ子広場出荷者協議会」に加盟し、常時220人ほどが出荷。准組合員は、出荷の手数料も非組合員より低く設定されているなど、「作って応援」をしやすい環境も整えた。
 直販所を拠点とした准組合員や地域住民との関係づくり強化に向け、JA土佐くろしおの挑戦はこれからも続く。

▼作って応援 JAコスモス  直販所出品でやりがい

▼作って応援 JAコスモス  直販所出品でやりがい

 2006年にスタートしたJAコスモス(本所=高岡郡佐川町甲)の「あぐりミドルスクール」は、スクール生に農業の基礎知識や具体的な栽培技術を教える講座で、年間13回の講座を受けて修了となる。
 現在13期目で、これまでに延べ482人の修了生を輩出している。スクールをきっかけに直販所「はちきんの店」への出荷を目指す修了生も多く、同JAの准組合員の資格を得て「作って応援」に取り組んでいる人もいる。
 今年4月、故郷の高岡郡梼原町にUターンした河野廣志さん(66)もその一人。元国家公務員で家庭菜園の経験すらなかった河野さんが野菜作りに興味を持ったのは、妻の妙子さんが「はちきんの店 六泉寺店」でもらった「あぐりミドルスクール」のチラシを手渡したことがきっかけだった。
 2015年に入校し、3年間、当時住んでいた高知市から通いハクサイ、ダイコン、トマト、スイートコーンなどさまざまな野菜の作り方を学んだ。
 一方で同JAコスモスの男性組織「赤い褌(ふんどし)隊」にも参加。料理教室、みそ造り、清掃活動などを通し自然と地域に溶け込んでいく中で「いつかは自分の野菜を『はちきんの店』に出荷できたら」という思いが強くなっていったという。
 梼原町にUターン後、河野さんは「『はちきんの店』へ出荷したい」という思いがより一層強くなり同JAに准組合員として加入した。現在、原木シイタケ、米、野菜を作っており、スライスの「干しシイタケ」にして出荷する原木シイタケは売れ行き好調だという。
 米作りでは約15アールの田を1人で耕し、バインダーで収穫してはざかけをする。寒暖差の大きい高地で育ち、刈った後に天日に干した米は味が良く、「今年は『はちきんの店』で販売できれば」と出来栄えを楽しみにしている。
 「農業は大変だが、『はちきんの店』に出すだけでもやりがいがある」と河野さん。准組合員としてJAと共に地域貢献に励む河野さんの姿は、充実感にあふれている。

《農Fresh,農Life 農を支える若人たち》 No.3  香南市 安原孝治さん(44)  就農 5年目

《農Fresh,農Life 農を支える若人たち》 No.3  香南市 安原孝治さん(44)  就農 5年目

 20年間、建設関係のコンサルタント会社に勤務していた安原孝治さん(44)。大きな建造物を手掛ける一方、20代のころから農業に興味を持ち、「パソコンの前で図面を作るより野菜を作りたい」と40歳で「脱サラ」を決めた。
 「トラブルがあってもリカバリーがしやすい」と考え、1度の定植で年に6回ほど収穫できるニラを選んだ。1年間ニラ農家で栽培技術を学び、2014年6月に就農。2年後には収量を増やすための炭酸ガスや電照設備を導入し、17年にはニラそぐり機を購入して、作業の効率化・品質の向上を図った。現在3人の従業員、ベトナムからの農業実習生2人と共に54アールのハウスで栽培している。
 就農して数年で大規模な設備投資と雇用形態の確立に着手したのは「農業を継続するためには企業的な発想が必要」と思っているからだ。また、「農業はしっかりと段取りをして無駄を省くことで利益を上げられる仕事」と言い、自分の考えと責任で進められることが魅力だと話す。今後は1ヘクタールまで規模を拡大し、次の担い手を育てていく。「就農できたのは、手厚い支援があったからこそ。ニラの全国シェアナンバーワンを守り、農業という職を目いっぱい楽しみたい」と意気込んでいる。(情報提供=JA土佐香美)

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