育て!新規就農者  JA土佐あき 県、市などと連携(平成30年6月24日掲載)

 JA自己改革の基本目標の一つである「農業生産の拡大」を実現するため、JAグループでは農業生産基盤の維持・拡大に向けた新規就農者の育成・確保に力を入れている。安芸市では、JA土佐あきが中心となり、県の農業振興センターや同市の農林課、農業共済組合などと連携して「安芸市担い手支援協議会」を設立。密に連携し、県内外からの新規就農者の育成・確保に向けてさまざまな取り組みを行っている。

▼充実の体制

▼充実の体制

 農業従事者の高齢化により離農が進む中、農業を持続・発展させるために新規就農者の確保・育成が急務となっている。
 安芸市では生産農家を増やすべくいち早く準備を進め、2006年3月に「安芸市担い手支援協議会」を発足した。
 農業の初歩的な知識と技術を身に付け、実践を積んで独立する就農支援のプログラムを作り、JA土佐あき、JA園芸研究会、同市、同市農業委員会、安芸農業振興センターで構成するサポートチームが巡回指導を行って、栽培技術はもちろん、農地取得や設備投資などについてもアドバイスを行い、きめ細かく支援している。
 同市は施設園芸が盛んで、環境制御技術の導入も進んでいる。JA土佐あきは、2014年頃から県の補助事業を活用し、JA営農指導員らを中心に環境制御技術の普及を図った。その結果、反収増および農業所得の向上の成果も表れている。これらの成果は、新規就農希望者を確保する上で大きなアドバンテージとなっている。
 新規就農希望者たちに「魅力ある安芸の農業」を発信するため、協議会は積極的に就農相談会へ出向いて説明するとともに、より理解を深めるための1泊2日の農業体験ツアーも実施している。ツアーではハウスの見学や収穫体験、研修生や生産者との意見交換会、懇親会などを行っている。
 実際に同市での就農を希望する人には面談を行い、研修から独立までのプロセスや必要な資金、自立後の生活設計などについて説明し、理解と同意を得た上で1〜2年間の就農研修をスタートする。 
 県外からの希望者については、市などが空き家情報を提供する「空き家バンク」を活用するなど、移住促進プログラムとの連携も密に行っている。

▼プロに弟子入り

▼プロに弟子入り

 研修を行うのは同市内の受け入れ農家と、JA土佐あきの出資法人「アグリード土佐あき」。“農業のプロ”に弟子入りする形で、農業の基礎を学んでいく。
 整枝や水やり、病気や生育状況のチェックなど日々の仕事をしつつ、生産者と一緒に研究会に出向いて栽培技術を学ぶ。農業は助け合ったり学び合ったりする仲間の存在が大きく、人とのつながりをつくることも就農のための大切な一歩である。
 「アグリード土佐あき」は、担い手不足や増加する耕作放棄地の課題を解決し、農業生産を向上させることを目的に、15年10月に設立された。
 23アールの研修用ハウスでは、1年半ほど前から有澤彰悟さん(32)が有光大専務の指導の下、ナス作りを学んでいる。以前は市役所の臨時職員をしていたが、30歳になるのを機に就農を決意。実家がナス農家で農業になじみはあったものの「知らないことばかりだった」という。
 少しずつ仕事を覚えてきてはいるが、同じことをしてもいつも同じ結果が得られるわけではない農業の難しさを感じているそうだ。「その分、収穫できたときの喜びは大きい」と話す。

▼農業基盤の強化へ

▼農業基盤の強化へ

 師匠に付いて学んだ後は、サポートハウスに移り、すべての責任を自分で負って作物を作る。サポートハウスは、JA土佐あきが2棟、同市が4棟所有しており、土作りから定植、出荷までを1人で行う。利用期限はおおむね2年で、その間に農地を探したり、ハウス建設の準備を進めたり、自立に備える。
 島田之慎(よしのり)さん(30)は、サポートハウスでのトライアルを終え、今年8月から自分のハウスを持ち、自営農家となる。サラリーマンから転職するに当たり不安もあったが、段階的に知識と技術を身に付けるプログラムがあったこと、サポートチームが寄り添い背中を後押ししてくれたことが良かったという。
 サポートチームはサポートハウスを月に1回巡回し、農業経営が軌道に乗るよう支援しており、今後も頼りになる存在だと話す。
 これらの同市全体での熱心な取り組みは実績を上げており、県外からのIターンを含め7年間で約20人が研修終了後に就農した。昨年10月に高知県で開催された「第20回全国農業担い手サミット」でも注目を集めた。
 JAグループ高知では、新規就農者の研修先となる受け入れ農家やJA出資法人への助成を行う「担い手育成支援事業」、新規就農者への助成を行う「新規就農支援事業」など、独自の支援制度を設けて後継者育成に力を入れている。農業基盤の強化に向け、安芸市での取り組みがJA土佐あき管内全域に、さらには県内に広がっていくことが期待されている。

《農Fresh,農Life 農を支える若人たち》 No.1  香南市 都築廣和さん(39)  就農 2年目

《農Fresh,農Life 農を支える若人たち》 No.1  香南市 都築廣和さん(39)  就農 2年目

 かつて運送会社に勤務し、野菜を運んでいた都築廣和さん(39)。深夜にまで及ぶ長時間の仕事を続ける中で、これからの働き方や生き方について考えるようになった。青果市場で野菜の荷下ろしをする家族の姿は幸せそうで、積み荷を見て「この野菜を自分で作ってみたい」と思った。
 離農してサラリーマンになった父からは「大変やぞ」と反対されたが、中央東振興センターの就農相談窓口を訪れ、技術研修や農業経営について聞くうちに「これならいける」とやる気が湧いてきたという。その後、担い手育成センターで半年間の研修を受け、作物としてシシトウを選んだ。シシトウは小さな面積で収量を上げることができる、新規就農者向きの作物だという。
 「小さく始めて大きく成長する」と決めていた都築さんは、最初からスタッフを雇用する形態を取っている。2年目の現在、南国市にある1200平方メートルのハウスで栽培しているが、まもなく2棟増設し、1800平方メートルにする予定だ。やりがいは「手をかけた分だけいいものができ、やった分だけ収入につながること」。台風や竜巻などのリスクはあるが、それでも自分らしい働き方、生き方を手にした喜びは大きい。「将来は、次世代型ハウスで大規模に作りたい」と、さらに高みを目指している。(情報提供=JA南国市)

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