JAコスモスニラ生産部「ニラそぐり」機械化(平成30年4月22日掲載)

 高知県は全国有数のニラの産地である。ニラは「そぐり」という不要な葉を取り除く収穫後の調製作業なくしては商品化することができない。しかし、現場ではそぐり手の高齢化による減少が深刻な問題となっている。この危機的な状況を打開するためにニラの「そぐり・計量結束センター」を建設したJAコスモス(本所=高岡郡佐川町甲)の自己改革を取材した。

▼高齢化で減少

▼高齢化で減少

 高知県産のニラは、全国の出荷量の4分の1を占め日本一の生産量を誇る。ところが近年、高齢化により収穫の後工程である「そぐり」作業の担い手不足が深刻化し、出荷量に影響を及ぼすほどの状況に陥っている。
 JAコスモスの管内には、佐川町、越知町、仁淀川町、いの町に計41戸のニラ生産者がおり、年間約600トンを出荷している。
 ニラは刈り取った後に、外側の硬い葉や茶色く変色した葉を取り除いて整える「そぐり」という調製作業を行い、中心のきれいな葉だけの状態にして一定量に結束し、袋詰めして出荷する。
 ニラの生産者は個々に作業場を構え、家族や近隣の人を雇用してそぐり作業を行っており、生産規模が大きくなればなるほど人手が必要となる。
 しかし、10年ほど前から高齢化により「そぐり手」が減少し、そぐり作業が追い付かなくなってきた。収穫を先延ばしにすると虫や病気が発生し、品質が低下して出荷ができなくなる。せっかく育てたニラは「刈り捨て」となり、収入には結び付かない。
 近隣でそぐり手を確保できない場合は、隣町まで運んで作業を委託することもあるが、車で搬送する時間も大きな負担となる。
 ニラを生産して24年の同JAニラ生産部の田村和弘部長(49)は「この5、6年で事態はかなり深刻となり、危機感を持った」と話す。
 作付面積の拡大を行ってきたが、そぐり作業に合わせて生産量を調製したり、そぐり手の確保や作業の委託・回収にかなりの時間と労力を費やすこととなった。ニラの需要が順調に伸びる中、そぐり手不足は規模の拡大や新規就農に暗い影を落としていると痛感した。

▼「利用料」で雇用

▼「利用料」で雇用

 ニラは施設栽培なら通年収穫できる上、価格も比較的安定していることから、新規就農として取り組みやすい作物だ。しかし、新たに生産を始めても、そぐり手がいなければ出荷ができない。IターンやUターンなど、近くに知り合いがいない場合はそぐり手の確保はさらに困難で、新規就農を阻む要因にもなっている。
 2015(平成27)年、ニラ産地としてそぐり手不足の状況を打開するために、ニラ生産部とJAコスモスはニラ調製作業の機械化に向けて動き始めた。
 13(同25)年に県内のJAで初めてそぐり機および計量結束機を導入した「JA高知はた」を3回にわたって視察し、生産者に利用の意向について調査を行い、事業計画を策定した。
 その後の動きも迅速で、JAグループ高知が連携して取り組む「県域担い手サポート連絡協議会」の支援および国、佐川町からの補助金の助成を受け、わずか1年8カ月後の17(同29)年3月に「ニラそぐり洗浄機」2台、「計量・結束機」1台を導入した「そぐり・計量結束センター」の完成にこぎ着けた。
 佐川町永野の同センターは2階建てで、2階でそぐり、計量、結束を行い、1階で袋詰め、箱詰めを行って出荷する。
 生産者は刈り取ったニラをコンテナに入れて持ち込み、調製・結束してもらったニラの出来高に応じて「利用料」を支払い、その利用料をJAが預かって従業員を雇用する仕組みとなっている。個人でそぐり・結束を行う場合は、1階の小袋包装・梱包(こんぽう)作業を委託する。
 同センターの利用割合は生産者によって異なるが、センター稼働後はそぐり手不足の問題が緩和され、全体の出荷量は5%ほどアップした。
 当初の計画では11人の生産者が利用を希望していたが、そぐり手の休職や退職により、それ以外の生産者の利用も出始めている。これまで刈り捨てとして廃棄せざるを得なかったニラを出荷する受け皿として、大きな役割を果たしている。
 新規就農者にとっては、そぐり手確保や設備投資の負担が軽減されるため当初から全量持ち込みを推奨しているという。

▼産地の維持拡大へ

▼産地の維持拡大へ

 田村部長は「これで生産者はニラ作りに専念できる」。炭酸ガスや発光ダイオード(LED)照明設備など県が進める環境制御技術の導入により、収量アップが見込まれるニラは、ギョウザなどの加工用としても需要が伸びており「各生産者が収量を上げる工夫をし、品質を上げる努力をする方向に向くことが、産地の維持拡大につながる」とこれからを展望する。
 センターでは、1時間に約100キロの処理が可能だが、今後はさらに受け入れが増える見込みであることから、作業効率の向上を目指している。オペレーションの工夫と、オペレーターの作業習熟度の向上によって、さらに多くのニラを処理できると考えている。
 「作業効率が上がり、より多くのニラを精度よく処理できるようになれば賃料を安く抑えることができ、農家の収入が増える」と田村部長。明るい未来に向けて新たな挑戦が始まっている。

《直販所見〜つけた》 JA高知市 旭直売所

《直販所見〜つけた》 JA高知市 旭直売所

 高知市の旭駅前商店街、電車通りから少し入った一角にある、花いっぱいの直販所。
 鴻ノ森のミカンを売る良心市が始まりで、1972(昭和47)年に旧旭農協の倉庫を店舗に改装し、花卉(かき)の生産者を中心に20人ほどで直販所をスタートした。現在は「高知市農協旭支所直売部」という生産者の組織によって運営され、旭駅前店と横内店の2店舗がある。今も花卉生産者が多く、花苗や野菜苗の種類が豊富。「丈夫でえい実をつける」と評判が高く、遠方から買い求めに来る客も多い。
 また、春先はタケノコ、ワラビ、フキ、イタドリなどの山菜が人気で「もう出ちゅうろうか?」という
電話での問い合わせもあるという。
 トマト、キュウリ、ナスなどの野菜は、福井や蓮台地区、尾立地区で栽培される露地物が多く、安くて新鮮、旬ならではの味わいが魅力。8月には新米もお目見えする。鏡地区の「草味庵」からぬくぬくが届く手作り豆腐や、手作りお寿司(すし)も売り切れ必至の人気商品だ。

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 「直販所見〜つけた」は今月号でいったん終了。6月号から新コーナーが始まります。お楽しみに。

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 所在地 高知市旭駅前町3

 電話番号 088・824・1761

 生産者  約100人

 売場面積 約102平方メートル

 営業時間 午前7時半〜午後4時半

 休み   12月31日〜1月4日

 駐車場  5台

高知県農業協同組合中央会[]
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