電解水素水で「還元野菜」(平成29年12月24日掲載)

 電解水素水(還元水)で農作物を栽培すると、作物の機能性が高まるとともに成長が促進され、収量がアップするとみられている。その学術的根拠を示し、高品質野菜としてブランド化を図るため、産官学が連携してプロジェクトに取り組んでいる。その中心とした「還元野菜の里づくり」を目指し、電解水素水を活用した栽培を実践するJA南国市出資農業生産法人「南国スタイル」(南国市福船)を取材した。

▼次世代型ハウス

▼次世代型ハウス

 南国スタイルの設立は、2012(平成24)年4月のこと。中村文隆専務(42)は「準備段階の11年に、日本トリムとの出会いがあった」と話す。
 日本トリム(大阪市)は20年以上前からいち早く水の研究に取り組み、電解水素水整水器の製造販売をしてきたメーカー。1991(同3)年には高知市に研究所を構えており、本県とも縁が深い。
 電解水素水は、水を電気分解してできるアルカリ性の水。家庭に整水器を置いて健康目的で飲む人も多く、医療用として透析などにも利用されている。この水を、かん水や葉面散布に使うと作物の成長が早く、収量アップが期待できる―というのが日本トリムの予見だった。
 この予見に基づき、南国スタイルは農業用の電解水素水整水器を導入。栽培実験を行った結果、通常の水に比べて青ネギで26%、小松菜で20%、ホウレンソウで7%程度の増収が確認できた。
 その後、15(同27)年7月に南国市とJA南国市、高知県、高知大学、日本トリムが連携協定を締結し「電解水素水を活用した還元野菜プロジェクト」が発足。本格的に「還元野菜」の生産と実証実験を行うため、県の「平成27年度次世代施設園芸モデル事業」に採択され、南国市上野田に70アールの「次世代型ハウス」が建設された。
 最新の環境制御技術を搭載したハウスの中には整水器6台を設置。地下水を電気分解して電解水素水にし、肥料を溶かしてポンプでハウス内にかん水・噴霧する仕組みを整えた。

▼「将来性高い野菜」

▼「将来性高い野菜」

 現在、ハウスでは南国市特産のピーマンと希少な国内産パプリカを生産し、通常の水と電解水素水との栽培比較を行っている。実際、肥料がよく溶け込み、根への浸透もよいことが分かってきており、葉面に散布することで光合成も促進しているとみられている。
 味は「野菜そのものの風味を強く感じるが、えぐみがなく食べやすい」と中村専務。現代の若者や子どもたちに支持される、将来性の高い野菜だそうだ。
 14(同26)年に東京、大阪で開催された「高知のこだわり青果市」に参加した際、青果のバイヤーにブラインドで「還元野菜」と通常栽培の野菜を食べ比べてもらったところ、多くの人が「『還元野菜』の方がおいしい」と答えたという。
 加えて、一般の人にも味を評価してもらう機会として、日本トリムの整水器ユーザーを対象に「還元野菜の詰め合わせセット」を販売している。300セットの限定だが、関心は高く、食べた人はアンケートで「おいしい」と答えている。

▼高知発の新技術

▼高知発の新技術

 現在、南国スタイルと、地域の協力農家3戸が整水器を導入して還元野菜作りを行っているものの、生産量が少ない上、研究成果が実証されておらずまだ「還元野菜」をうたった一般販売はできない状態だ。
 それでも「1日置きだったゴーヤーの収穫が、毎日のことになって手が回らん」という農家の声が聞こえるようになってきた。
 また、野菜の機能性について、高知大学農林海洋科学部が「抗酸化力が向上する」との実験結果を得ており、さらなる学術的な根拠の解明および証明について研究を進めている。
 今後、電解水素水の効果・効能をはっきりと示すことができるようになれば、健康志向の高い層からの需要が見込まれる。新しい高知の農業の形として広がれば、生産が拡大するとともに、ブランド野菜としての付加価値が高まり、農家収入の向上が期待できる。
 南国市の次世代型ハウスには全国から見学者が訪れており、電解水素水のシステムや「還元野菜」への関心は高い。電解水素水の機能はさまざまな作物に応用でき、よい効果を発揮すると考えられている。中村専務は「地球上で食糧が不足する現状を考えれば、いずれは全国へ、海外へと広がっていくことも期待できる技術。われわれが主導して農法を確立し、高知発の技術として広めたい」と考えている。

《直販所見〜つけた》 JAグリーンはた 中村店(ふれあいの店)

《直販所見〜つけた》 JAグリーンはた 中村店(ふれあいの店)

 土佐くろしお鉄道・中村駅から北へ約500メートル。ガソリンスタンドの奥にある「JAグリーンはた中村店」は新鮮な野菜、果物、魚、肉と何でもそろう産直市だ。
 この時期は露地物、ハウス物ともに野菜がずらりと並び鮮度を競う。トマトも味が乗り始め、多くの人が買い求める。きれいなピンクの豚肉は、近くの食肉加工場から届く四万十ポーク。鮮魚も取れたてが並ぶ。JA高知はたのゆず甘酢、女性部が作るしば漬けやいちじょこ味噌(みそ)など地域の味も充実の品ぞろえで、総菜や寿(す)し、餅なども多彩。特に、一尾丸ごとのサバ寿しは圧巻で、作り手ごとに味わいが異なるのも楽しい。
 店内で大きく扱っている「しまんと農法米」は、四万十川を守る取り組みを進めるもので、栽培時の濁水が川に流入しないように対策を行い、農薬5割減で栽培した米。さらに売り上げの一部を保全活動に寄付している。
 地域で余った野菜を福祉施設に届けるフードバンクの取り組みも始まり、まさに地域とともに歩む「ふれあいの店」だ。
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 所在地  四万十市右山五月町7−40
 電話   0880・34・4499
 生産者  約590人
 売場面積 約660平方メートル
 営業時間 午前8時〜午後6時(3〜10月は午後6時半まで)
 休み   元日〜1月3日
 駐車場  約40台

高知県農業協同組合中央会[]
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