米粉の新たな販路開拓を(平成27年12月27日付高知新聞朝刊)

多業種、学生と商品開発/れいほく未来

 「地域の米づくりを衰退させない」という思いから、2009(平成21)年より米粉事業に力を入れてきた「JA土佐れいほく」。その後、2011(同23)年より「JA土佐れいほく」が出資する「株式会社れいほく未来」(土佐郡土佐町)へと事業が引き継がれ、米粉の消費拡大に力を注いでいる。昨年から食品業者と連携して米粉商品の開発に着手し、消費拡大、新たな販路拡大に向けて挑戦が続いている。地元の高知県立嶺北高校、高知県立大学の学生らの協力も得ながら新製品のヒントを探り、新しい可能性について模索する「れいほく未来」を取材した。

▼全国で余剰気味

 2009年、「JA土佐れいほく」では稲作の活性化を目的に米粉製粉事業をスタートした。年々、米の消費量が減少する中、国の政策で主食用から米粉用、飼料用などの「新規需要米」への転換が進められたため、米加工品の特産化を検討。土佐町、長岡郡本山町、大豊町で米粉用に新規需要米の栽培が始まった。
 質の高い米粉を作るために、水を吸った米粒同士が気流によりぶつかり合ってさらさらの微粉となる「湿式気流粉砕方式」を導入し、製パンや製麺に適した米粉を生産。相手先ブランドによる生産(OEM)で米粉のラーメンや米粉うどんを開発し、販売した。
 その後、2011年に「株式会社れいほく未来」が発足し、「JA土佐れいほく」より米粉事業を受託。米粉事業の立ち上げから製造・販売を手掛けてきた専務の長野進さん(67)は、「ある程度まで伸びたところで壁に当たった」と6年目の米粉事業を振り返る。
 米粉は県内外の量販店でも販売され、一時期は目新しさと県内産の安心感、ヘルシー感が受けて市場は徐々に拡大した。もちっとした食感が好まれ、お好み焼き粉やたこ焼き粉のラインアップも増やした。
 しかし、全国各地で米粉事業への取り組みが始まったことから米粉は全国的に余剰気味となり、売り上げは伸び悩んだ。新規の需要を創出し、新たな取引先を増やしていくための仕掛けが必要となった。

▼焼きそば風麺、お菓子

▼焼きそば風麺、お菓子

 「米粉が売れなければ、米を作り続けることができなくなる」。米どころ嶺北の稲作再生を手掛けてきた長野専務の思いは切実だ。
 国内で6次産業化が進むが、「製品を作る技術も販売するルートも持たないわれわれが新たな製品を作ることは難しい」と考え、他業種とのコラボによって新製品を作る取り組みを進めている。
 昨年は「県のものづくり地産地消・外商センター」のマッチング支援を受け、「近森食品」(高知市)とともに「白いB麺 焼そば」を共同開発。「れいほく未来」が米粉を提供し、近森食品が米粉と小麦粉の配合を研究、麺作りの経験を生かして焼きそば風の麺を作った。
 「JA土佐れいほく」の職員らも試食検討会に参加し、嶺北の野菜とよく合う麺が出来上がった。地域のイベントでB級グルメとして宣伝、販売するほか、「近森食品の商品として流通に乗せて販売することで、われわれには見えないお客さまに届けることができた」と話す。
 「次はお菓子を作りたい」と考えていた長野専務は、本年度の「こうち農商工連携基金事業」に応募して採択され、「企業組合さくら堂じゃぱん」(安芸市)とともに「米ビス」を開発した。
 「さくら堂じゃぱん」の理事長、徳広智史さん(61)は「子どもからお年寄りまで、安心して気軽に食べてもらえる素朴なお菓子を」と、安芸市で1952(昭和27)年からお菓子づくりを続ける老舗菓子店の菓子職人だ。
 「米粉の良さを引き出したお菓子を作りたい」と、香ばしさとカリカリとした食感が特徴の「米ビス」を作った。小さな子どもでも食べきれる小袋サイズと家庭サイズを用意し、県内の量販店で11月中旬から販売をスタート。今後はコンビニエンスストアでも販売したい意向だ。
 「れいほく未来」は、米離れが進むといわれる次世代の若者たちとの連携にも力を入れており、嶺北高校や、高知県立大学健康栄養学部から米粉料理のレシピや新商品開発のサポートを受ける。中でも、同大学のサークル「こめっ娘。」は米粉料理の研究を活動主体としており、米ビスの新製品開発にも参加。若々しい感性を生かしたパッケージデザインも手掛けた。

みどりの広場 | 高知県農業協同組合中央会

▼身近な食材に

▼身近な食材に

 一方、「れいほく未来」は一般家庭に米粉を普及させるためのPRにも力を入れている。“粉もの”の食文化が盛んな関西で、食と農のコーディネートを手掛ける「谷町空庭」(大阪市)と連携し、米粉の料理教室を開催している。
 米粉料理のレシピ本も発行。米粉シチュー、天ぷら、蒸しパンなど、「安心して使える純国産の粉」としての使い方を知らせることで、販売数も伸びている。
 製品にバラつきが出ないよう「アキツホ」という品種に統一し、米の成分をそのまま微粉にした上質な嶺北の米粉は大変評価が高く、生協をはじめとする共同購入のグループや米の専門店での扱いも増えている。
 その中で、小麦アレルギーに悩む人たちに注目され、新たな市場も見えてきた。長野専務の元には「米粉オンリーのお菓子を作ってほしい」との声が届いており、今後の課題として取り組んでいきたいと話す。
 「われわれは米と米粉の生産者。質の良いものを作るのが先決。その先はいろいろな人と連携し、知恵やノウハウ、流通網を借りながら広めていきたい」と、さらなる展開に意欲を燃やしている。

《直販所見〜つけた》 水辺の駅あいの里仁淀川

 2000(平成12)年に「観光客の憩いの場」としてオープンした、食堂併設の直販所。清流・仁淀川のほとりに建ち、いの町楠瀬から出来地までの生産者19人が季節の野菜や果物を出品しており、そのほとんどが露地物だ。周辺にはビニールハウスはなく、そのほとんどが露地物で、今はハクサイやホウレンソウ、サトイモなど冬野菜が豊富だ。2月になると土佐文旦が色鮮やかに店頭を埋め、その後はタケノコ、タラの芽、ワラビ、イタドリなど山菜がにぎやかに春を告げる。この直販所の特徴は、なんといってもボリューム感と安さ。買い物客も驚くほどで、高知市や愛媛県から訪れる客も多い。
 また、ゴールデンウイークの5月3〜5日には、生産者が観光客のおもてなしイベントを開催し、駐車場の小間でアユの塩焼きや焼き鳥、アイスクリームなどの販売を行う。食堂では、仁淀川の美しい風景を見ながら、名物のアユやツガニうどんが食べられる。清流の味、ぜひご賞味を!

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 所在地  吾川郡いの町柳瀬本村551
 電話   088・897・0097
 生産者数 19人
 売場面積 約150平方メートル
 営業時間 午前8時〜午後4時
 休み   12月31日〜1月3日
 駐車場  約30台

みどりの広場 | 高知県農業協同組合中央会

《うちんくレシピ》 米粉八菜グラタン

《うちんくレシピ》 米粉八菜グラタン

【材料・4人分】
 鶏肉…100グラム、タマネギ…1玉、米ナス…1個、ホウレンソウ…1束、シイタケ…4枚、バター…適宜、塩…適量、コショウ…適量、シュレッドチーズ…適宜、パン粉…適宜
(A)米粉…75グラム、牛乳…500ミリリットル、バター…75グラム、コンソメ…1個(顆粒でも可)、水…適宜
 ※具はお好みで旬の野菜を入れるとおいしいです。
【作り方】
(1)鍋に(A)の材料を入れ火にかけ泡立てとろみがつき、ぶつぶつ沸き出すまで混ぜる。とろみ加減は水で調整しお好みに。
(2)ホウレンソウをゆでる。
(3)フライパンにバターを熱し、お好みの大きさに切った鶏肉、タマネギ、米ナス、シイタケを炒め、塩、コショウで味付けし、ホウレンソウと一緒に(1)に混ぜる。
(4)グラタン皿に入れ、チーズ、パン粉を振りオーブンで焼く。
(提供:JA土佐れいほく女性部)

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