茶業振興へ「戦略計画」(平成26年6月号)

高岡郡津野町のJA、生産者ら

茶業振興へ「戦略計画」(平成26年6月号)

 四万十川源流の地、高岡郡津野町。山々に囲まれ、深い霧に覆われるこの地域は、古くからの県内有数の茶どころ。しかし、高齢化に伴って茶業を離れる人も多く、茶の生産は衰退の一途をたどってきた。近年、荒れゆく耕作放棄茶園を再生しようと、津野町と地域のJA、生産者らが一丸となって立ち上がった。長年地域を支えてきた茶業を守り、振興につなげる活動が始まっている。

▼募る危機感

▼募る危機感

 かつては仁淀川水系に次ぐ県内第2の茶の生産地として栄えた津野山地域。しかし、時代と共に茶葉の消費が激減し、市場価格は著しく低迷した。生産者の高齢化とあいまって、茶業から離れる人も多く、生産量はピーク時の3分の1まで落ち込んだ。
 やがて、手入れされない茶園は雑草や低木が伸び放題の「放棄茶園」となり、受け継ぐこともままならない状態に。「このままでは茶の生産地として残れない」と地域の茶生産者が危機感を募らせ、津野町とJA津野山、JA土佐くろしお、JA津野山茶生産組合、葉山茶生産組合が一体となり、2013(平成25)年度から行う「つの茶販売戦略計画」をまとめている。
 生産、加工、流通・販売の分野に分け、品質の向上と総合的病害虫管理(IPM)の導入、加工技術の向上、茶文化の復活などの具体策に取り組んでいる。
 その中の一つに、作業の受委託と放棄茶園の再生がある。茶園の管理状況を調査してマッピングし、作業の委託を受ける仕組みを作り、生産者が力を合わせて耕作放棄地の整備を手掛ける方針を打ち出した。
 まず最初に手掛けたのは、14(同26)年4月に行った「道の駅 布施ケ坂」のすぐ隣の斜面にある放棄茶園の整備だ。人の背丈以上に伸びた木を草刈り機で刈った上で、専用の機械を使って雑草や低木を刈り取っていく。伸び放題の枝をきれいに剪定(せんてい)し、かまぼこ形の畝が並ぶ茶畑の景観を取り戻した。
 津野町は、清らかな川、小さな石垣を積んでできた田や畑、山の斜面に整然と並ぶ茶畑などを含む里山の風景が評価され、09(同21)年2月に国の重要文化的景観に指定されている。その景観にふさわしい茶園を取り戻すことの意義は大きく、集客の拠点「道の駅」の地の利を生かし、将来は「四万十川源流茶」に親しんでもらう観光茶園として活用したいと考えている。

▼新たな需要開拓

▼新たな需要開拓

 高知県の茶は、銘茶の産地である静岡や京都などへ、味を調えるブレンド用の茶として出荷されてきたが、産地表示の見直しで需要は激減。「自分たちで売る」ことが必要な時代となった。
 現在、町内で加工した荒茶は町外で煎茶に仕上げ加工し、アンテナショップやJA、直販所などで販売する。山の茶特有のうま味を知ってもらおうと、県内外でさまざまなイベントにも参加し、地道にファンを増やしてきた。
 津野町と連携して町の活性化を担う「株式会社 満天の星」では、2年前から茶葉を自社で焙煎(ばいせん)し、「ほうじ茶」を作っている。高知市内にある津野町のアンテナショップでは、ほうじ茶の粉末を使ったスイーツ「満天の星大福」がヒットし、津野町の名前とともに、県内ではあまりなじみのなかったほうじ茶のおいしさを知らしめた。
 昨年9月には、JA津野山が発売した「四万十川源流茶(ほうじ茶)」が、高知県産ほうじ茶の統一ブランド「土佐炙(あぶり)茶」として認証され、高知を代表する茶の一つとなった。今後は県外にも積極的に販路を広げていく予定だ。
 現在、新たに取り組んでいるのが、県内初となる加工用抹茶の生産。抹茶用の茶は、直射日光が当たらないよう被覆をする栽培方法と、通常とは異なる加工方法で、これまで県内では生産されていない。また、通常の茶を新茶として出荷する場合、最も早い時期を逃すと買い取り価格が日ごとに急落することから、気候条件の不利な地域でより単価の高い茶を作り、収益につなげたいと栽培に乗り出した。
 JA津野山で商品開発に携わる高橋寿宏さん(35)は、「お菓子やアイスクリームなど、地産地消の商品作りを目指す企業からの関心が高まるのでは」と、期待する。

▼次世代につなぐ活動

▼次世代につなぐ活動

 茶の消費が低迷した要因には、「茶を入れて飲む」という習慣がなくなってきたことがある。ペットボトル入りの茶が登場して以来、茶は「買って飲む」ものとなり、家庭からは急須が消えつつある。
 高橋さんらは、次世代に日本茶のある食文化を継承したいと、県内各地で出前授業を行っている。茶の栽培から加工、茶の入れ方や味わい方、茶の効能などを話し、実際に茶を味わってもらう授業。子どもたちの反応はとてもよいという。
 茶業は、地元の子どもたちにとっては地場産業。津野町立中央小学校では、3年生の社会見学の授業として、茶の生産から加工までを体験・見学する機会を設けている。春には茶園を訪れて生産者に教えてもらいながら茶摘みを体験。その後、荒茶加工の工場を見学し、午後からは摘んだ茶葉を大釜でいり、もんで乾かし手もみ茶として味わう。
 茶を摘みながら、「昔はおじいちゃんも作っていたらしい」「家ではいつもほうじ茶を飲んでいる」などの会話が弾み、各家庭に茶が生きていることが分かる。秋にはお茶の入れ方も学ぶ。
 味には自信を持つ「つの茶」。「この茶を守るためには、急須のある食卓、一服の茶を楽しむ暮らしを取り戻すことから」と語る高橋さん。若者たちが自信とやりがいを持って働ける地場産業への成長を目指している。

《うちんくレシピ》 ナスの大葉とチーズはさみ揚げ

《うちんくレシピ》 ナスの大葉とチーズはさみ揚げ

 【材料・5人前】
 ナス…5本、大葉…20枚、とろけるチーズ…5枚
 A…かたくり粉、卵、パン粉、サラダ油各適量
 【作り方】
 .淵垢里悗燭鮴擇蝓■?幅の斜め輪切りにする。
 △気辰反紊某擦靴謄ッチンタオルでふきとる。
 に切り込みを入れ、ナスの大きさに合わせて大葉とチーズを挟み込む。
 ぃ舛鮟臠屬砲泙屬靴謄汽薀戚で揚げる。
 タべやすい大きさに切って盛り付ける。
(提供:JA土佐香美)

《直販所見〜つけた》 JA高知はた直販所 ふれあいの店 具同店

《直販所見〜つけた》 JA高知はた直販所 ふれあいの店 具同店

 4月15日、県道346号沿いのJA高知はた具同事業所跡地に移転オープンした「ふれあいの店 具同店」。JAバンクのATMを併設し、2階には地域コミュニティーセンターを設けた。以前より売り場はぐっと広がり、野菜や果物に加えて、鮮魚や調味料、日用品などの取り扱いも増えた。着物をリメークした洋服もひそかな人気となっている。利便性・集客性が高まり、オープン以来集客を伸ばしているという。
 メーンとなる新鮮な野菜や果物は、種類も量も豊富。生産者が順次取れたてを持ち込むため、早朝はもちろん、昼を過ぎても野菜が買えるのが魅力だ。地元産のところてんや「じゃこみそ」などもぜひ味わってみたい一品。また、田ノ浦漁港などから朝取れピチピチの魚が午前10時半ごろに届くとあって、朝昼2回訪れる人も多く、活気が絶えない直販所だ。
 具同以西の生産者の出品が多く、地元の味が手軽に買えるのもうれしいところ。宅配便の取り次ぎも行っており、季節の味を詰めて遠方の家族や親戚に送ることもできる。8月前半には「新米フェア」も行う予定。
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 所在地  四万十市渡川3丁目1―29
 電話   0880・37・0777
 生産者  約600人
 売場面積 約106平方?
 営業時間 午前8時〜午後4時
 休日   12月31日〜1月3日
 駐車場  14台

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